極東の戦略的な都市で示されたd&bの実力
d&bにとっての戦略的ロケーションロシアの極東沿岸地域で、わずか155年前にロシアの一部となったMuravyov-Amursky半島地域の州都、ウラジオストックは、ロシア海軍の太平洋艦隊の本拠地でもありロシアにとって極東地域における最も戦略的に重要な都市であります。 遠く離れた都市として長年にわたって孤立ぎみであったウラジオストックは、2012年にAPEC(アジア太平洋経済協力会議)サミットの開催地となってから21世紀の世界に急速にその存在感を示すようになってきました。 このサミットを契機に、多額の投資が行なわれた結果、2つの橋(市中心部のZolotoy Rog橋およびRussky島連絡橋)が建設され、さらにエンターテインメント施設にも特別の重点がおかれることとなりました。こうしたエンターテインメント施設への重点政策の象徴とも言えるのがFetisovアリーナです。 ここはアイスホッケーチームAdmiralの本拠地でもあり、7,500人を収容できるよう(ウラジオストックの人口は約60万人)に設計され、2013年にオープンしたばかりのこのアリーナでは、定期的に展示会やコンサートが開催されている。しかしながらFetisovの音響・照明システムを包括的に引き受けているAccord社のKosyakov社長は次のように語ります。「このような建物にはよくあることですが、Fetisovアリーナの音響性能はあまり優れたものとは言えません。システムもホッケーの試合には十分ですが、まったくコンサート向きではありません。当然のことのようにどこのアリーナ経営者でも思うように最高レベルのコンサートPAを希望していましたし、希望しないわけがありません。 特にここの場合は、それが重要なことでした。地理的な条件からして、真の国際的なアーティストをFetisovに招くことができるようにする唯一の方法は、そのプロダクションをフルに持ち込む手間や費用を要することなく、来ていただけるような条件を整えておくことでした。」Kosyakov社長は、多額の費用をかけて建物の音響性の改善を実施したが、満足するには至りませんでした。そこで彼は、Stage Proの音響コンサルタントAshurkin氏に相談をもちかけることにしました。この地域で最大の機器レンタル事業も行っているAshurkin氏は、確信をもってこう語りました。「ニュートラルで極めてクリアーなサウンド、そしてリギングとチューニングが容易なd&b audiotechnikのシステムが理想的な選択です。私はKosyakov社長に、ロシアでのd&bパートナーArisのPro Audio部門のSoloukin氏のアドバイスに従うよう勧めました。」そのSoloukin氏は、こう語ります。「Fetisovは、スポーツアリーナとしては比較的小さな観客収容能力しかなく、コンサート会場として見込める収益は決して大きくありません。ですから見積を行う際には、予算がきわめて重要な要素になりました。 しかし皮肉なことに、アリーナの音響上のタイトな制約が、かえって可能性を与えてくれました。 フロントとアウトフィルにVシリーズを使用したd&b Jシリーズのメインシステムに基づくデザインが、会場が要求するすべてのパワーと俊敏性を提供できるものでした。 このシステムのパターンコントロールが、きわめて一貫したものなので、私たちは、観客エリアを、最小限のスピーカーでモデリングできました。 またJ-SUBおよび J-INFRAのカーディオイド性能のおかげで、必要がないところには音響エネルギーを放射しないようにできました。」Kosyakov社長は、その成果についてこう語りました。「Ashurkin氏と、Aris ISD社のシステム技術者Shuev氏が、去年の5月に事前デモンストレーションを行った際、アリーナの経営者たちは、すぐにその恩恵をはっきりと認めました。この他所から離れている地域の人たちを納得させるのは、そうたやすいものではありません。観客なしのアリーナでのデモの際の音響効果は、それは驚くべきものでした。システムがきわめて効率的だったので、予算の余った分は、Aris社からDigicoのコンソールやBeyerdynamicマイクの購入費用にまわすことができました。」システムの設置と試運転の完了後、10月に初めての本格的な運用がLive Nationによって Roxetteの公演で行われました。成功を収めたのか?という疑問には リードシンガーのMarie Fredrikssonならこう言うと思われます。「あなたの心に聞いてごらんなさい」と。