ちいさなスコットランド、Corby Cube

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イギリスのイースト・ミッドランド地方のLeicester、Peterborough、そしてNorthamptonで構成される三角形の地帯には、産業的な背景から独特な人口分布を持つ都市が存在します。1930年代にスコットランド地方の鉄鋼労働者が多く集まったCorbyは、やがて『Little Scotland』と呼ばれるようになり、その伝統は今でも続いています。現在でも人口の2/3はスコットランド人、あるいはその家系にいると考えられており、言葉のアクセントや、地元で祝われているスコットランド式の文化イベントにもそれが表れています。

スコットランドの伝統は生きていると言えども、その存在理由は鉄鋼産業の衰退と共に、4半世紀も前に死に絶えてしまいました。多くのイギリス都市と同様、Corbyもまたアイデンティティーの喪失に苦しみ、現代的かつ持続可能な変貌を遂げるために苦労しています。しかし個人や公共団体からの出資により、物流やIT、製造業の中心として、また『Little Scotland』という文化に着目した再生計画が進んでおり、そのフラッグシップとも言える存在が、今回新たに建設された建築Corby Cubeなのです。

建築事務所Hawkins\Brownによってデザインされた人目を惹くガラス構造の中には、図書館、総合市政センター、登記所、市議会、屋上庭園やカフェといった施設が存在します。そしてビルの最下部に位置するのが、2つの要注目コミュニティーアート施設。The Coreは着席時に450人、スタンディング時に700人を収容可能な多目的劇場、そしてThe Labは60~90席を設置可能なスタジオスペースとなっています。劇場コンサルタントであるCharcoalblueはHawkins\Brownと協力し、構造上の制限をクリアしながらパフォーマンス施設のデザインに取り組んでいます。計画段階において、デザインディレクターであるGavin Green氏率いるCharcoalblueチームは、The Coreのお手本をWest Endの劇場、特にThe Old Vic Theatreにすべきとの結論に至っています。Gavin氏の説明によると、柔軟性こそが最重要課題であったとのこと。「まず、完全にフラットなスペースとして、あるいはプロセニアムとして、さらにはオープン・ステージとしても使えるような劇場である必要がありました。そこで我々は宝石箱の劇場というコンセプトを立て、華々しく見えるステージの裏には大きな柔軟性が隠されており、必要に応じて一等席を取り外せるような構造を考えました。」The Coreはヴィクトリア朝風の3層構造となっており、クラシックな蹄鉄状のバルコニーが情熱的なドラマと緊張感を醸し出しています。

「劇場には高品質なラウドスピーカーシステムが多数備えられており、もちろん、どのメーカーを使うのがベストなのかという点を熟考した上で決断されています」、劇場のテクノロジー関連についてそう語るのはCharcoalblueのIan Stickland氏。「我々は様々なメーカーと継続的にミーティングを重ねており、新製品のことはもちろん、サウンドデザイナー達とは現場の動向について意見交換を行っています。どのデザイナーやコンサルタントの間でも、d&bは一貫して最高のメーカーであるとの評価を受けており、それは単純に、彼らが最高のサウンドを生み出すラウドスピーカーを作っているからでしょう。それに加え、同じアンプで様々なラウドスピーカーを駆動させられるという点、手厚いサポート、幅広いサービス・ネットワーク、上手く制御されたオフ・アクシス反応といった要素が、多くの劇場にとって魅力的なチョイスとなる理由なのでしょう。」CharcoblueのPaul Crosbie氏は、こう付け加えます。「我々が働いているのは、新製品が次々と誕生し、新たなテクノロジーが絶え間なく確立される、非常に動きの速い業界です。顧客の要求をもとに、劇場に可能な限り最高のインストレーションを行うためには、選択可能な機材全てを詳細に吟味しなければなりません。それだけに、我々は常に業界の最先端に居続けなくてはなりませんし、トレンドに追い越されるような事があってはならないのです。」The Labは主にリハーサルに使用されるということもあり、オペレーションの簡便性に注目してデザインされています。比較的小さなd&b audiotechnik サウンドシステム、Tascam CDプレイヤーでのプレイバック、ETC Smart Fade デスクによる容易な照明制御により、ストレス無く練習を行うことが出来ます。

Corby Cubeのように大きなプロジェクトは、決して一夜で完成することはありません。投資する側の人間もプロジェクトの様々な面に絡んでいるため、スケジュールが引き延ばされることも珍しくないのです。しかしプロジェクトがようやく完成し、一歩引いた視点で自らの仕事を誇らしげに眺めた時に得られる満足感は、それまでの苦労を一気に忘れさせるものです。ステージに関する電気技術者を務めるMartin Woodage氏は、Corby Cubeでの仕事に対してこう語ります。「とても誇らしい気持ちです。この仕事に関われて良かったと思いますし、こうしてここに通って見せびらかすのはいい気分です。Corby Cubeを新聞やテレビで見かけるたびに、『自分はあれに関わったんだ』と嬉しくなるんです。」

記事の一部はmondo dr、写真はMike Lethby氏によるものです。

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