リリドレイに魔法をもたらすd&b Soundscape。
家族で楽しめる遊びの世界がアニック・ガーデンに新しくオープンしました。ここに棲む架空の生き物たちは、d&b Soundscapeシステムのイマーシブオーディオ技術により実現しています。サウスビー・プロダクションズが設備を担当し、受賞歴のある劇場音響デザイナー、ギャレス・フライ氏により設計されたこのシステムは、この世界のマジカルな住人たちに生命を吹き込んでいます。
完成まで10年の歳月を要したリリドレイは 、北欧神話に登場するドワーフやトロール、妖精、ホブゴブリンなどの素敵な生き物が住む魅惑的な世界です。ただ、彼らの姿は目に見えません。その存在を体験するために必要な手がかりは、特殊効果とイマーシブ音響です。d&b Soundscapeはそこで大きな役目を果たしています。
ノーサンバーランド公爵夫人、ジェーン・パーシー氏の傑出したビジョンから生まれたリリドレイの舞台裏は、8月23日にチャンネル4でスタートの6部構成テレビドキュメンタリー「公爵夫人と魔法の王国 (The Duchess And Her Magical Kingdom) 」でうかがい知ることができます。
公爵夫人はリリドレイを人々の増え続けるスマートフォン依存へのチャレンジの一つとして考えました。その説明によれば、遊びがマジックを生み、トナカイが空を飛ぶといった理想のクリスマスが可能となります。リリドレイでは大切なクリスマスの時期は、スマートフォンの使用はご法度です。ここは人々がスマホの画面から目を離し、お互いに遊びに集中できるように造られた世界なのです。
サウスビー・プロダクションは、公爵夫人がイマーシブな音響体験に関する同社の専門知識のことを知った2019年からこのプロジェクトに携わっています。サウスビーのクリス・ジョーンズ氏が提供したSoundscapeのデモを体験し、公爵夫人と彼女のチームはその重要性を確信しました。その後3年間を経てイマーシブなサウンドの可能性が具体化してきた頃、サウスビーはこの複雑怪奇な想像の世界を実現するために、サウンドデザイナーのギャレス・フライ氏と協力関係を結びました。フライ氏はイマーシブというコンセプトには馴染みがありましたが、Soundscapeを使うのはこれが初めてでした。「私が学ぶべき主なポイントは、d&bがこのコンセプトを実現しているソフトウェアについて十分に理解することでした」と彼は言います。
そのために、サウスビーはフライ氏の自宅にイマーシブ360˚ Soundscapeのミニスタジオを設置しました。フライ氏は次のように語ります。「これは、Soundscapeの可能性を最大限に引き出す方法を学ぶ上で大変に有益でした。私はすべてをLogic Proでミックスし、Soundscape Audio Unitプラグインを使用して、SoundscapeのすべてのパラメータをOSC経由でリモート制御、自動化しました。自宅ですべてをプログラム出来たので、現場への移行は難なく行えました」
それぞれの“部族”ごとのサウンドトラックが制作され、フライ氏とサウスビーのチームは公爵夫人にデモを行いました。同氏によれば、公爵夫人はこの世界のサウンドがどうあるべきかについて非常に明確な考えを持っていたといいます。
遊園地全体をDS100シグナルエンジンで直接カバーするとなれば膨大なコストがかかるため、Soundscapeの出力は各ゾーンの再生を制御する個別のQ-SYSシステムにコピーされました。「Soundscapeでこの世界を創造し、次に基本的にはそれらのスピーカーの出力を、Q-SYSで再生するマルチトラックに“プリント”するのです」とジョーンズ氏は説明します。
再生には、5S、4S、超小型の固定設備用サブウーファーBi8を含む、300本以上のd&bのxS-Seriesラウドスピーカー(耐天候仕様モデル)が採用されています。システム全体の駆動用アンプとして、d&bの新しい4チャンネル固定設備用アンプ、5Dを82台使用しています。
ジョーンズ氏は、特別プロジェクト、設置および販売部門の責任者であるキャリズ・トーマス・ステア氏とテクニカルディレクターのディグビー・ショー氏を含むサウスビーのチームに敬意を表しています。両氏なしでは、このような複雑なソリューションは不可能だったでしょう。
関係者全員にとって紆余曲折した長旅となりましたが、その結果は、意図したとおり、とてもマジカルなものになりました。「素晴らしいですね。とても気に入っています」とジョーンズ氏は言います。「私の小さな子供をぜひ連れて行きたいです。そして、これを世界の他のロケーションにも展開するというプランに意気揚々としていますよ。これは次のステップです」