Soundscapeの成熟.

2月初めにアムステルダムで開催されたIntegrated Systems Europeでの公式公開に向けて、厳選されたユーザーが d&b audiotechnik の没入型ライブオーディオ技術、Soundscapeの開発を進めてきました。公式公開を前に行われる「ベータ」段階のテストは、現場で活躍する世界中のエキスパートの能力に大きく依存するものです。

イタリアにあるレンタル企業、BH Audioはそんな信頼のパートナーの一つです。1979年に創設されたBH Audioは、クラシック、コンテンポラリー、ジャズなど、様々なジャンルにおいて、最高品質の音響補正とレコーディング技術で定評のある企業です。1990年の創設以来、BH Audioがサウンドを担当している世界屈指の総合芸術祭、ラヴェンナ・フェスティバルは彼らの腕の見せ所です。

© Silvia Lelli
© Silvia Lelli

BH Audioは過去3年間、Soundscapeの基盤となるオーディオ技術をこの現場で繰り返しテストしてきました。「大きいラウドスピーカーを沢山追加する必要は無いんですよ」、と教えてくれたのはBH AudioのMD,マッシモ・カルリです。「スピーカーの数に大きな変化は無いとはいえ、アンプのチャンネルを増やすことはすごく大切なことなんです。そのためには配線や、DS100プロセッサの使い方を変えなくてはなりません」。
Soundscapeのプラットフォームのために開発されたDS100シグナルエンジンはステージのそばに配置され、AES67を介して接続されています。FOHとしてのカルリのチョイスは、Lawo MC236コンソールとLawo Compact I/Oステージボックスです。 

「AES67を使えば以前に比べセットアップがすっきりします」、とカルリ。ミキサーから44のダイレクトアウトと20のポストフェーダーを3つのラヴェンナ会場のポートを介してDS100に送ることができます。更に、DS100からのアウトプットをLawoボックスのAES-EBUで直接異なるラウドスピーカーに送ることができます。

前年の設定をSoundscapeシステムで再現するために必要になったのは、4台のT102ウェイラウドスピーカー(パッシブ)と4台のE8 2ウェイ多目的同軸ラウドスピーカーだけでした。メインフロントの4つ、左右上下2つづつのY10は、一つのラインアレイにシンプルにまとめることができました。

「ヴォーカルのアンプに関しては、無線のマイクカプセルをシンガーに取り付けるだけではなく、トラッキングシステムも使ったんです」、とカルリ。「ここで使われたシステムはネットワークを通してトラッキングするTTA社のStage Tracker。これはシンガーの位置を精確にDS100に伝えるダイナミックなトランスミッターです。」

カルリとBH Audioは今月、そして7月を通してラヴェンナ・フェスティバルでSoundscapeをフル活用していきます。パラ・デ・アンドレでのパフォーマンス全てはこのシステムで行われます。従来のPAスピーカーの概念を覆すこのツール。いつでもどこでもぴったりのソリューションを提示してくれるSoundscapeがBH Audioにとって手放せないツールになっているのも当然なのかもしれません。

「どんな種類の仕事にも向いている、とは言えないかもしれません。でも、時間が経つにつれて、聴衆が慣れていくにつれて、どんどん障害を乗り越えて行けるシステムだと思います。これはライブサウンドの概念を覆すものだと思います。一回使ってみると、もう手放せなくなりますよ。」

「これはライブサウンドの概念を変革するものだと思います。一回使ってみると、もう手放せなくなりますよ。」 「これはライブサウンドの概念を変革するものだと思います。一回使ってみると、もう手放せなくなりますよ。」
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