d&bのJ-Seriesによって再び活気づくシドニービクトリアンセンテニアルホール

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オープニングショーの9日前に機器が搬入されることはツアーリングの世界では全く当たり前のことですが、それがシドニーで第二に有名なジョージストリートのセンテニアルホールのコンサート会場の大規模な新常設PA設備だったとしたらどれほど時間に追われ息つく暇もなかったかの想像は容易にできると思います。Scott Willsallen氏は2004年のアテネオリンピックの音響設計を手がけましたが、その時とは全く異なる要件を満たさなくてはいけないこのホールの音響設計も彼が行いました。「設計において最も重要だったことを簡単に言えば、客席のスピーチ明瞭度を重視したゾーン単位でのカバレージです。システムは1列のフライングアレイとアンダーバルコニーフィルにサブを独立したアレイで構成しました。」 センテニアルホールは、ビクトリア王朝後期には、式典を行う部屋でしたが同時に1600人を収容するコンサートホールでもあります。そのため複雑な形状の漆喰の壁面パネルと高い天井によって音響的には非常に長い残響空間(RT60が約3秒)である上、ステージの上には巨大なパイプオルガンが備えつけてあります。そして、ここは1973年にシドニーのオペラハウスがオープンするまでは、この町において唯一の大型芸術ホールでした。その後センテニアルホールの近代的な音響システムへの改修は、長い間行われませんでした。 システムの設計を行ったWillsalle’s audio consultacyは、前述した2004年のアテネオリンピックや2006年にはメルボルンコモンウェルス競技大会、アジア大会やユーロビジョンソングコンテスト等の著名なイベントにおいての極めて優れたシステムデザインでその名を知られています。「我々は最終的に請け負ったPA People社のChris Dodds氏と最初に契約し、彼らと共に入札の設計仕様作成を含めた設計を行うことを約束しました。重要なポイントは、前述したように優れた明瞭度を達成できることと音楽再生やバンドの再生帯域全体を制御することでした。極めて挑戦的な試みは、部屋の後ろ壁と横壁に多大な直接音のエネルギーを当てることなくバルコニー席のカバレージを維持することでした。」この時代の市建造物の多くがそうであるように、センテニアルホールもホールの長さと同じだけの狭く長いバルコニー席が両側にあります。Willsallen氏は、 d&b audiotechnikのJ8ラインアレイラウドスピーカー6台の下にJ12ラウドスピーカーを3台下げるシステムを選定しました。「必要なカバレージを得ながら不必要な反射を避けるためには、この構成によって両者の最良な妥協点に到達することができます。」 さらにWillsallen氏がd&b audiotechnikのフラッグシップJ-Seriesラウドスピーカーシステムを選択した理由は非常に興味深いものです。このシステムは本質的にツアーリング用システムでありこのホールが固定設備で一番最初の導入でした。「ツアー用のシステムであるがために短期間のスケジュール内の設置が可能であったのです。」と説明するのはオーストラリアのd&bパートナーナショナルオーディオシステム社のShane Baileyで、彼がThe PA Peopleにシステムを販売しました。「Scott氏がEASEで作成したシミュレーションモデル通りのカバレージとアレイカーブが簡単で迅速かつ正確に設定できるリギングシステムで簡単に行えました。」

Willsallen氏は他にもアンダーバルコニー用にd&bのE0と低域性能の拡張にd&bのQ-SUBサブウーファーアレイも設置しました。「殆どのイベントではJ-Seriesアレイの帯域だけで充分ですが、さらに低域が必要なイベントではQ-SUBを足せるようにしてあります。」設置工事は、PA PeopleのBrett Steels氏とそのチームでしたが、Willsallen氏は称賛を述べます。「仕事の質はもちろんですが、PA People社がスケジュール内に全てを終わらせたことに顧客は非常に喜んでいると思います。」 本題である「性能」についてはどうだったのでしょうか?「部屋の後方バルコニーへのカバレージは予想以上でした。」とWillsallen氏。「しかしながら、後ろの壁からサイドバルコニーに反射音が遅れて到達してしまっていたので、バルコニー後部とその後ろ壁からの反射の相関関係で妥協点を探らなければなりませんでした。それをシステムのプリセットによって極めてヘビーな低域にしたり、それを切ったりということを他の空間に影響を与えることなく行う方法に気が付きました。これでシステムの低域を減衰すると予測通りの性能になります。」これらの変更は簡単に行えたのでしょうか?「d&bのROPE Cで行ったので非常に簡単に行えました。このソフトウェアは、非常に直観的で解り易く、必要な情報とツールによってユーザー主導に会場に合わせた構成にすることができます。導入した製品はすべて非常に良い性能を発揮し、ナショナルオーディオシステム社の Shane Bailey氏とIJS Logistics社のJay van Lieshout氏のサポートも完璧でした。」

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