d&bSoundscapeで未開の地に踏み出した24rpm エレクトロ・ミュージック・フェスティバル。
「教会音楽」というと、パイプオルガンの荘厳な音色やゴスペルのエネルギッシュな歌声が思い浮かびますが、伝統的な教会建築の美しさ、そして特に音響は、ジャンルを超えた実験的なエレクトロ音楽のひねりのきいたビートにも素晴らしい舞台を提供してくれるものです。少なくとも、レコード会社であり、アーティスト・イベント管理会社のパイオニアであるBit-Phalanx社はそのように考え、例年開催されるRPMフェスティバルの会場としてそうした“聖なる空間”を選択しました。
2019年に第5回を迎えたこのAVパフォーマンスとエレクトロミュージックの祭典が、ロンドンのコベントガーデンにあるセント・ポール教会の心地よい雰囲気の中で一日間にわたって開催されました。今年度のイベントは「24rpm」と名付けられ、Leila(Warp Records)、LAのエレクトロ・パイオニアであるDaedalus、日本のアーティスト/プロデューサーCoppéとHatakenのライブコラボレーションなど、最先端を行くエレクトロニック分野のアーティストが勢ぞろいしました。また、ビョークのアルバム「Vulnicura」をバーチャルリアリティで体験できるVRインスタレーションも用意され、五感の祭典である24rpmをさらに盛り上げました。
Bit Phalanx社のレイ氏が説明するように、チャーリー・チャップリンやボリス・カーロフなどの記念碑があり、“アクターズ・チャーチ”とも呼ばれるセント・ポール教会は、クリエイティブな雰囲気を感じられる空間であると同時に、d&bのSoundscapeシステムを導入することで、24rpmに相応しい場所になりうることも証明されました。
「私たちが教会でしかフェスを開催しない主な理由の一つは、音響の素晴らしさがほぼ保証されているということです」と彼は言います。「ただ、教会にはそれぞれ独特の構造があるので、従来のシステムではいくら優れたものでも難しい作業が強いられるんです。数層の中2階席、合唱団席、オルガン、説教壇など、サウンドをナビゲートするにあたってすごく難しい箇所がありますからね。これまでのイベントでは、音が鈍くなったり、音の“死角”ができないように常に意識してなんとか回避してきましたが、もっと良い方法があるはずだと思っていました」。
そこで24rpmが見つけた“もっと良い方法”がd&b Soundscapeです。サプライヤーはロンドンのマートンにあるDobson Sound社、そしてイベント期間中はd&bがサポートを行いました。システムの中核を担うのは、場内のラウドスピーカーアレイのためにDante対応のシグナル管理を行うDS100シグナルエンジンでした。
Dobson Sound社のメル・オマレイ氏は以下のように説明します。「私たちがRPMフェスティバルに携わるのは初めてで、直前の会場変更に苦労しましたが、素晴らしいイベントになったと思います。私たちはいわゆる“上品な場所でのロックンロール”を扱うことに慣れているので、アクターズ・チャーチでやる、と言われても、克服できないような問題があるとは思いませんでした。古い教会の建物というスペースの限られた場所での作業と、それに伴う搬入の難しさを考えても、当日にd&bのサポートを受けられたおかげでセットアップは驚くほど簡単でした。ArrayCalcソフトウェアは、このような状況でのシステム調整にかかる時間を大幅に短縮してくれるので、複雑なセットアップも非常に素早く行えます」
長年のd&bパートナーであるDobson Sound社は、24rpmのイマーシブ感を高めてくれるSoundscapeのメリットをすぐに認識しました。「単に高い音質をもたらすだけでなく、観客にリアルな体験を提供してくれました」とオマレイ氏は言います。「Soundscapeは、とてもエキサイティングで実験的なアーティストがラインアップに並ぶ24rpmにとって理想的なツールでした。ユニークなイベントにできたし、反響にも大満足です」
「私たちはサウンドの質と透明感、そしてこのイベントでオーディエンスが感じた親密さに関して、信じられないほどポジティブなフィードバックを受けました。これは私たちが常に目指していることですが、d&b Soundscapeは今年、それをさらに別のレベルにまで高めてくれました」とレイ氏。