タイのEsplanade Ratchda、芸術と娯楽の見本となる。
芸術と娯楽の融合、これらの言葉の組み合わせは高い報酬を得ているコピーライターであったとしても一語で表現することは簡単なようで意外と難しいと考えられます。例えできたとしてもバンコクのRatchdapisek RoadにあるEsplanadeのように全てを伝えることは無理でしょう。このEsplanadeはSiam Future Development Pucbic Company Limitenによって開発された全体構想はショッピングモールとなる場所です。建築的に内部と外部に非常に苦労したEsplanadeは質の高い買い物とワールドエンターテインメントが合体したようなそんな場所となりました。 その中心となる場所、Muangthai Ratchdalaiシアターは、タイのミュージカル上演を目的として作られたプロセニアム形式の1500席の劇場です。周囲には24レーンもあるボーリング場、アイススケートリンク、シネマそしてフィットネスクラブがあるため劇場のアドバイザーとなった技術コンサルタントのCCW社がすぐに直面した問題が容易に想像できます。 「複合施設のそれぞれの音漏れに関しては、非常に困難を極めました。」と語るのはCCW社のプロジェクトリーダーであるEric Wong氏。「ビル自体の屋根や壁面の初期構造に追加工事を行う必要がありましたが、防音には特別な防音材を使用しないで、殆ど一般的な建築部材で行わなければならなかったため、音響システムと室内の音響に関しては手探りで最適な設計を模索するしかありませんでした。」そうだとすると、音響設計に影響を与える外部の環境の改善を行ったのでしょうか?「いえ、それは当然のことながら不可能ですが他にも解決する方法がいくつかありました。その中で着目したのが、最小限で最大の効果を得られるであろうポイントソースを用いた近接エリアのみをカバーする方法です。」Wong氏と彼の率いるチームはタイのd&b audiotechnik販売会社M.I.Engineering社と契約しました。「我々は音響と照明、そして映像システムを劇場に納入しました。」とM.I.社のJohn Chan氏が説明します。「Wong氏が選定したシステムはL/C/RにQi7とQ-SUBを使用するシステムに加えて各所にE3とE0を使用するものです。更にローエンドの拡張用にB2が2台入っていました。」同社は照明機器も納入しましたが、こちらもまた予算に制約がありました。「基本的にETCのディマーを販売、施工してケーブル配線を見直しただけです。照明器具や調光卓は必要に応じて外部からレンタルすることになっています。」 Wong氏は、d&b audiotechnikのシステムを選定する前に客先に対して、各種のシステムを良く比較するように提案しました。「最初に設置したシステムの電源を入れるまでは、恐らく多くの人がこのシステムで大丈夫なのか?という疑念を持たれていたと思いますが、今日市場で流行しているラインアレイに対する反応と同じように目の前に多くのラウドスピーカーが有るわけでは無いのに電源を入れて音を出すと皆さんビックリされました。そして実際に各ラウドスピーカーは決められたエリアを最小のオーバーラップ、つまり最少のコムフィルタリングの影響でホットスポット的に音量が高い場所のない均質なカバーができています。選択したd&bのラウドスピーカーは、非常に正確な予測ができるだけでなく、音質的にも非常に優れています。このためシミュレーションや計算を行うにあたって非常に自信を持って行えます。ここで通常使用される平均レベルは約85 dB程度で、ピークはそこから15 dB上がったところです。そのため、システムがクリッピングするポイント以下に+6 dBのヘッドルームを持っています。音響減衰特性は全ての周波数帯域に渡ってリニアであるため、サブウーファーのサウンドもブーミーにならずタイトで奥行き感のあるクリアな音質となりました。」 CCW社は、極めて全てにおいて実りのあるプロジェクトとなりました。「建築側が我々にラウドスピーカーの設置場所を自由に決めることを許可してくれました。」Wong氏は、Ratchadaのハウスサウンドエンジニアと数回一緒に仕事を行いました。「実際には5日間でしたが、我々は皆例え最良な音響システムであってもミックスが悪ければ台無しになることを理解していたので、今回はそこに重点を置きました。彼らは自分たちが出したい音を現実的にどのように行えば良いかを分かっています。これによってプロジェクトはミュージカルや演劇にとって非常に良い音響を提供できる素晴らしい物となりましたが、そこには良いチーム、良い音響エンジニアが不可欠です。それら全てによって決して大がかりなシステムではないですが、素晴らしいサウンドシステムとなりました。このようなケースは非常に稀であるため、そこに関われたことを大変光栄に思っています。会社の中で私を中心に多くのホール物件に携わってしましたが、ここは我々の設計したシステムの中でベストと思っています。フィルシステムを設置せずにこのような素晴らしい結果を得られるとは思っていませんでした。」