d&b Soundscapeがサカナクションライブで国内デビュー.

東京でも屈指のライブハウス、EX THEATER ROPPONGIにて4日間開催が予定されていたライブのために、ポップバンド、サカナクションはサウンドエンハンスメントを求め、d&b Soundscapeシステムを選択しました。そしてこれは、d&b Soundscapeシステムの日本国内ライブコンサートでのデビューの舞台となったのです。

2005年結成以来、サカナクションは日本の音楽界で着実な人気を博してきたグループです。その人気の秘密はオルタナティブロックから、エレクトロニック、ポップ、そしてニューウェーブまで、と多種多様なジャンルを取り入れた枠に縛られることのないサウンドスタイル。新技術を試していくという点でもちょっとした定評のあるサカナクションは、ライブ演奏にも、そのスタイル同様に開放的なアプローチで取り組んでいます。

EX Theater Roppongiで予定されていたライブにこのシステムを導入できるかが検討され始めたのは、このバンドのサウンドエンジニアリングを手掛けるアコースティック社の佐々木幸生氏が同社社長、山玉氏とともに横浜にあるd&bオフィスでSoundscapeのデモに参加した時のことでした。佐々木氏はd&b Soundscapeの導入に関してこんな風にコメントしています。「このシステムはこれまで耳にしたことがないようなサウンドイメージをクリエイトしてくれるシステムです。」

Soundscapeがサウンドを見事に分離することができるのは、従来の意味での‘ミックス’が実際行われないからです。アコースティック社 佐々木幸生氏

それに続き、バンドそしてプロダクションの責任者である野村氏が横浜のd&bを訪れ、自らの耳でシステムを体験することになりました。すっかり感心した当事者たちは、後日、自身のサウンドマテリアルを持参して再度のデモを行い、それに続き再びバンドの実際のFoHセットアップを使ったドライデモが敢行されました。その結果、Soundscape導入の最終決定となりました。

Soundscapeソリューション

コンサートでのSoundscapeソリューション設計にすぐさま取り組んだd&b JapanのEducation & Application Support (EAS)チームとその責任者クレイグ・ロベルの支援のもと、このプロジェクトは、迅速に進んでいきました。会場にはすでに、d&b J-Series L/R PAシステムが固定装備されており、その高さ、スプレイ角度、横方向のレイアウトを変更することはできませんでした。EASチームは既存のシステムを活用しながら、左右J-Seriesアレイの間に3つのd&b Y-Seriesアレイを追加、つまり、5つのフライングアレイをレイアウトし、180°Soundscapeシステムを構築することになりました。

サカナクションのパフォーマンスを彩るビビッドなビジュアルデザインのために、LEDビデオスクリーンがステージ背景の大部分を占めることとなりました。そんなステージでのバルコニーレベルからの観客の視野を考慮し、中央3つのY-Seriesはさらに高い位置に吊り上げられることになりました。その結果、左右J-Seriesアレイからのカバレージにぴったりとマッチするシームレスなパフォーマンスを維持できるように、Y-Seriesのキャビネットを各フライングアレイに追加することになりました。

客席のどこにいても、観客はベースのサウンドをベースアンプの位置から直接体験することができます。アコースティック社 佐々木幸生氏

ステージエプロンに配置された8台のT10ラウドスピーカーがフロントフィルをまかない、さらに10台のT10ラウドスピーカーが客席のサイドウォールに設置されました。

ミクシング、ロケーティング

SoundscapeをFoHでミックスした体験を佐々木氏はこのように語っています。「Soundscapeはサウンドを見事に分離することができるのは、従来の意味での‘ミックス’が実際行われないからです。私たちは通常、楽器やシーケンスをミキシングコンソール上でミックスし、それを左右ラウドスピーカーに送っています。しかし、Soundscapeでは、コンソールから出てくるサウンドを‘ミックス’するのではなく‘配置’するんです」。

佐々木氏はd&b R1 リモートコントロールソフトウェアを使い、一つ一つの‘サウンドオブジェクト’をアーティストの舞台上の位置に応じて配置しました。「例えば、ベーシストがステージの右側にいたら、R1でもベーシストをその位置に配置しました。その結果、客席のどこにいても観客はベースサウンドをベースアンプの位置から直接聞くことができるるんです」。

レスポンスが極めて迅速で正確なものでしたので、ボーカルのステージでの動きをスムースに、しかも簡単にサウンドに反映させることができました。アコースティック社 佐々木幸生氏

Avid VENUE S6Lコンソールでミックスを行った佐々木氏は、S6LにプラグインされたSoundscapeコントロールを使ってサウンドオブジェクトを自由自在に操ることができました。「レスポンスは極めて迅速で正確なものでしたので、ボーカルのステージでの動きをスムースに、しかも簡単にサウンドに反映させることができました」、と語ります。

観客の体験

Soundscapeはこのコンサートで新次元のサウンド体験をサカナクションのファンにプレゼントすることができました。ファンたちのその体験はSNSでシェアされています。Twitterでのコメントから、「ハイレゾサウンド」や「イマ―シブサウンド」が絶賛され、サカナクションがこのライブに異なるアプローチを取り入れたことをファンがしっかりと認識、そして評価している様子がはっきりと感じられます。

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