アントワープのVlaamse Operaがd&bを導入

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Vlaamse Operaはフランダースを拠点とするオペラ劇団であり、アントワープとゲントに二つの劇場を構えています。その内アントワープにあるものは半円形の劇場で、1181人の収容が可能です。歴史を重ねた由緒あるその建造物は、当時の貴族や上流階級のために建設されたことが見てとれます。特等席に続くエントランスは豪華絢爛であるのに対し、その他の席へは別に設けられた普通のエントランスから入場するというそんな時代でした。装飾は古代の神話をモチーフにしており、男が9人の女神に囲まれている様を描いた観客席の天井画は、全ての音楽における鉄則である「リズム」を感じさせます。 2004年から2007年の間に行われた改装工事においては、換気システムが一新されると共に、一階、二階の客席を入れ替え、他階の客席を修理、壁を塗り替えました。そしてAVシステムを一部換装し、ラウドスピーカー、電飾を含めてイーサネットでリンクさせることになりました。とはいえ、音響構造やPAに関する計画は全くありませんでした。 2009年になると、Vlaamse Operaのサウンド主任Dirk Minnebo氏と、d&b Audiotechnikのテクニカルサポート、そしてベルギーにおけるd&bの販売代理店Amptec社との間で、当劇場の新たなPAに関して話し合いが持たれます。L/Rシステム、もしくはセンターモノクラスターという選択を巡って音響シミュレーションを行った結果、L/Rシステムは即時に却下されることになりました。これは実用面に関する理由だけではなく、奥行きの狭い半円構造であるこの劇場においては、センターモノクラスターの方が拡散性において効果的だったためです。また、L/Rシステムではクラスターに近い客席において音圧が高くなり過ぎる、という点もセンタークラスターを選択することで回避できます。 センターポジションへのポイントソースシステムの導入と同じく、ラインアレイシステムに関するシミュレーションも行いました。垂直方向に関しては一階席中央から最上階バルコニーの最後列まで、広域の拡散が求められていました。そして劇場側の認可を得るためにも、ラインアレイシステムという選択は理にかなったものでした。そしてAmptec社による助言を受けてd&bテクニカルサポートが考案したデザイン案は、4台のd&b Q10で構成されたセンタークラスターです。水平110° × 垂直40°の指向角によって、要求された垂直拡散だけではなく、前列を十分にカバーする水平拡散も得られます。Q10はキャビネット内部における10インチドライバーの配置方法によって指向角を400Hzまで維持出来ることで、このデザイン案を実現することが出来たのです。(Vlaamse Operaが「文化遺産」に認定されているため)五階バルコニーにディレイシステムを設置出来ないという制限がありましたがセンタークラスター最上部のキャビネットにディレイを担当させることで、音場に妥協することなくこの問題を解決できました。 1階席に関しては、最高のサウンドを実現するためにはラウドスピーカーの最適な位置取りが不可欠でした。一際凝った装飾で彩られている1階席においてAmptec社が編み出した解決策は、特別にあつらえたスタンドオフのマウントシステムでした。金メッキの繊細な装飾が施されたフレームにQ7(水平75° ×垂直 40°)を設置することで、劇場の壁周りの美観を損ねることなくラウドスピーカーを配置できます。またこのマウントシステムは簡単に取り外せる、というもう一つの利点があり、必要が無い時にはラウドスピーカーを含めた一式を即座に取り外し、ロージュにしまうことが出来ます。 当劇場におけるフィルの必要は最小限、1階席最前列の左右端のみであり、E8を垂直にそれぞれ配置することで対応しています。サラウンドは壁に取り付けられたE0を取り付けてローエンドは各テクニカルロージュに目立ない配置にされたd&b J-SUBが支えています。またAmptec社はステージモニターとして小型のE3を採用しました。 これらのシステムを駆動するのはd&b D6、そしてD12アンプ。ケーブル長を最小限にするため、CourとJardin(ステージ左右の小部屋)、そして屋根裏に地下と、会場周りに設置しています。プリセットをコントロールするのはd&b R1リモートコントロールソフトウェアを搭載したMacPro、これによって劇場とプロダクションルームの両方からシステムのモニターが可能です。

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